迷惑を掛け合うか、迷惑を掛け合わないか

ドイツは絶賛ストライキでほとんどの電車(S-bahn)が止まっている。そうなるとベルリンの郊外に行く方法が車しかないので家で仕事をする。(そして仕事と関係ないブログを書く...)

ドイツ、特にベルリンは労働者第一である。勤務時間になれば何がなんでも終わる。服装は概ねなんでも良い。病気になればほぼ確実に休むことのできる権利がある。滞在許可書を取るために必要な書類が担当の職員によって違う。ともかく労働者が多くの意思決定をできる。

そして最も重要なのは国民がそれを当たり前に思っている。労働組合がちゃんと機能している。だから良くも悪くもストライキが多発する。みんな顧客の立場からすると不満はあるようだが、そういうものだからしょうがないという感じがある。

 

少し話は変わるが、その国民性に関わるであろう話をする。

ベルリンで電車に乗ると日本との違いに驚く。電車の中でホームレスが寝ていて、ある人は犬を連れていて、ある人は2人乗りのどデカいベビーカーを押し進め、ある人はイヤホンをつけずにYouTubeを大音量で流し、時々バンドが列車内で演奏し、横では若いグループがケバブを食っている。それに対して嫌な顔をしている人もいるが、みんななんとなくそれはしょうがないという気持ちでいるようである。その自由を規制しようとすると自分の自由が規制されるからであろう。ドイツは迷惑を掛け合う文化である。

ドイツ人は東京の電車に乗ると違いに驚くであろう。ゴミは全く無いし、人々は綺麗に並んで綺麗に電車に乗る。アナウンスを除けば電車内は静かで、空調もよくケバブの匂いもしない。しかし、どデカいベビーカーや演奏するバンドを東京の電車内で見ることはできないであろう。日本は迷惑を掛け合わない文化である。

どちらが良いかというとどっちもどっちである。結局は中間がよく迷惑を掛けないようにしつつ、迷惑がかかってもそれを許すということが良い公共の場であろう。

その良い公共に日本とドイツどちらが近いだろうか。今のところはドイツなような気がする。日本がその方向に行けるかはわからない。


PS: 実際問題は文化ではなく、純粋に混雑にあると思う。ベルリンでは座れない方が稀である。満員電車でバンドが演奏してたら誰でもキレるだろう。